April 14, 2013

右手からキミと生姜の臭いが消えないんだ

どうしてかな、キミの匂いなんかするわけないのに。

レバーをね、レバーを煮込んだんです。鶏レバーを。
ググって一番上にきたレシピを見ながら、煮込んだんです。
チューブの生姜と、醤油と砂糖。気持ちばかりの酒を絡めて汁気がなくなるまで。

そうしたら、どうしてか右手にだけ生姜の匂いがこびりついてしまって。
その生姜の匂いに見知らぬキミの臭いも交じり合って、
右手で顔を覆うだけで甘美な臭いに溶けてしまった。
それは足腰が立たないくらいに強烈で、僕は定まらぬ焦点で天井を睨んだ。
天井にシミかなんかあれば良かったのに天井は嘘のように真っ白で、
めちゃくちゃに汚してやりたい、そう思いながら睨んでいた。

そんなくだらないコトをしていたらすっかり日は落ちていて、
部屋の中に響くのは買ったばかりのCDと、誰かの気味悪い高笑い。
もちろん気味の悪い高笑いは僕自信のものだけど、
できれば、どうか、どうか、僕だけのものでなかったと、そう思いたい。

右手にはキミと生姜の臭い。
どうしてかな、キミの匂いなんかするわけないのに。

abrachan at 18:57│Comments(0)TrackBack(0)

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